クラシック音楽の効用

日々、慌ただしい生活を送っていても、音楽は、そういった日常のごたごたから一瞬のうちに、聴く者を全く異なる世界に連れて行ってくれる、最高の親友であるといえるでしょう。音楽は、おそらく、三次元の絵画に相当するもの、いわば、空間のアートであるように思うのですが、それだけに、絵画のように一瞬で見渡せるわけでもなく、時間の流れという制約を受けています。しかし、一方で、一瞬のうちに裏まで見渡すことはできない、視覚の情報とは異なり、聴覚は、何らかの意味で三次元的、すなわち、全体的、という属性を有しているようにも思われるのです。

このように、音楽は、私たち人間が、その存在を完全に把握することのできない、非常に高度な作用であるにもかかわらず、日常的に、手軽に楽しむことが出来るという、極めて贅沢な品であるように思います。音楽のエトス(時代精神)やそこに込められた作者のスピリットなどが、空間に漂いつつ、どのような波動を形成しているのだろうと、想像するだけで、その音楽が、単なる楽曲を超えた、途轍もない代物のように思えて、わくわくします。

私は、バッハの大ファンなのですが、奏でられる音の層が相互に響き合う、その響き具合までも、緻密に検討し尽したのではと思われる程の、素晴らしい音の構成や、何よりも、神の崇高な世界を垣間見せてくれるような、音楽に込められた彼自身のスピリットが、聴く度に、心に響き渡ります。

而して、感動できるクラシック音楽に巡り合うことが、私の人生にとっての楽しみの一つとなっているのです。